Sansui AU−9500. 13台目 修理記録 
 平成18年7月29日持込   8月6日完了
A. 修理前の状況
  • 昭和50年の学生時代、父親に買ってもらったものです。
    父親は既に 亡くなりましたが、このアンプは健在で、私の音楽人生を豊かなものにして くれました。
    半年ほど前、その頃からの夢であったALTEC「A 7」を入手し、 このアンプで鳴らし始めました。
    当初は非常によかったのですが、アンプの 通電時間が増大したせいか、最近非常に調子が悪くなってきました。
    症状。
    • アンプの電源を入れて、1時間程度鳴らし始めると、左チャネルから徐々に 「ゴソゴソ・パチパチ」とノイズが発生してきて、不規則に大きくなったり小さく なったりする・・・「線香花火」の音みたいな感じです。
    • なお、修理歴としては 購入数年後に、パワートランジスタを1個、交換したことがあります。
      このアンプとは一生を共にしたいと思っています。

B. 原因
  • 各部劣化
    初段FET(電界効果トランジスター)・TR(トランジスター)劣化。

T. 修理前点検測定
  • 歪みが多い。

C. 修理状況
  • 調整用半固定VR交換。
    EQ−AMP−TR(トランジスター)交換。
    コントロールAMP初段FET(電界効果トランジスター)/TR(トランジスター)交換。
    配線手直し、補強。
    各部、半田補正。
    コンデンサー交換。
    R側終段TR(トランジスター)交換。

D. 使用部品
  • 半固定VR                             4個。
    初段TR                                4個。
    EQ−AMP−TR                          2個。
    コントロールAMP−TR                      2個。
    コントロールAMP−FET                     2個。
    オーディオ用ミューズ電解コンデンサー           49個。
    メタライズドフイルムコンデンサー              8個。
    電源増量電解コンデンサー                  5個。
    R側終段TR(トランジスター)                 4個。


E. 調整・測定

F. 修理費       95,000円    オーバーホール修理。

S. SANSUI AU−9500 の仕様(マニアル・カタログより)
     
A. 修理前の点検
A1A. 修理前点検中 上から見る 綺麗です
A1B. 修理前点検中 L側終段AMP基板のカバー取り付け不良、多分前回の修理時?
A1C. 修理前点検中 シールド取り上から見る
A2A. 修理前点検中 下から見る
A2B. 修理前点検中 電解コンデンサーが爆発して、残骸が散乱している1
                前回の修理で清掃していない、掃除は修理の基本!
A2C. 修理前点検中 電解コンデンサーの半田付けも良くない、前の残骸は取り外していない
A2D. 修理前点検中 電解コンデンサーが爆発して、残骸が散乱している2
A2E. 修理前点検中 電解コンデンサーが爆発して、残骸が散乱している3
A2F. 修理前点検中 電解コンデンサーが爆発して、残骸が散乱している、底板にも!
A3. 点検中 使用するオーディオ用ミューズ電解コンデンサー、GOLDが増えてきました
T. 修理前点検測定
T1. 出力・歪み率測定
    <見方>
   下左オーディオ発振器より400HZ・1KHZの信号を出し(歪み率=約0.003%)これをAMPに入力し、SPからの出力を測定
   下中オシロ=入力波形(オーディオ発振器のTTLレベル)   下右上=周波数計
   上左端電圧計=L側SP出力電圧測定、黒針のみ使用
   上中左歪み率計=SP出力の歪み率測定 左メータ=L出力、右メータ=R出力
   上中右=R側SP出力電圧測定、赤針のみ使用
   上右端オシロ=SP出力波形 上=R出力、下=L出力
   下中右上デジタル電圧計=SP出力電圧測定RLは切り替えて測定
T2. 出力・歪み率測定・調整  出力=24V=72W 歪み率2% at=400HZ AUX端子入力
C. 修理状況
C1A. 修理前 R側 終段トランジスター 熱でシリコングリスが流れ出し殆ど無い
           前回の修理で他機種のTR(トランジスター)に交換されている!
C1B. 修理後 R側 終段トランジスター TR(トランジスター)4個交換
C1C. 修理前 L側 終段終段トランジスター 熱でシリコングリスが流れ出し殆ど無い
C1D. 修理後 L側 終段終段トランジスター
C2A. 修理前 R側終段基板
C−2B. 修理後 R側終段基板 TR(トランジスター)2個、半固定VR2個、電解コンデンサー4個、フイルムコンデンサー2個交換
C−2C. 修理前 R側終段基板裏
C2D. 修理後(半田補正) R側終段基板裏 全ての半田をやり直す
C2E. 完成R側終段基板裏 不要なフラックスを取り洗浄後
C3A. 修理前 L側終段基板
C3B. 修理後 L側終段基板 TR(トランジスター)2個、半固定VR2個、電解コンデンサー4個、フイルムコンデンサー2個交換
C3C. 修理前 L側終段基板裏
C3D. 修理後(半田補正) L段基板裏 全ての半田をやり直す
C3E. 完成 L側終段基板裏 不要なフラックスを取り洗浄後
C4A. 修理前 整流・プロテクト基板
C4B. 修理後 整流・プロテクト基板  SP接続リレー、電解コンデンサー12個交換
C4C. 修理前 整流・プロテクト基板裏
C4D. 修理後(半田補正)後 整流・プロテクト基板裏 全ての半田をやり直す
C4E. 完成整流・プロテクト基板裏 不要なフラックスを取り洗浄後
C5A. 修理前 コントロール基板
C5B. 修理後 コントロール基板
          FET(電界効果トランジスター)2個、TR(トランジスター)14個、電解コンデンサー17個、フイルムコンデンサー4個交換
C5C. 修理前 コントロール基板裏
C5D. 修理後(半田補正) コントロール基板裏 全ての半田をやり直す
C5E. 完成 コントロール基板裏完成 不要なフラックスを取り洗浄後
C6A. 修理前 EQ−AMP基板
C6B. 修理後 EQ−AMP基板  TR(トランジスター)6個、電解コンデンサー12個交換
C6C. 修理前 EQ−AMP基板裏
C6D. 修理後(半田補正) EQ−AMP基板裏 全ての半田をやり直す
C6E. 完成 EQ−AMP基板裏 不要なフラックスを取り洗浄後
C7. 修理中 前面パネルを外す方が、作業がしやすい
C7A. 修理中 TONE−VR基板 軸を取る
C7B. 修理中 TONE−VR基板 軸を取る
C7C. 修理中 TONE−VR基板 右=清掃後
C7D. 修理中 回転子の軸には「グリス」がある、よってバラして清掃しないで、無闇に接点復活剤を使用すると、
           この「グリス」が溶け出し、接点に皮膜となる
C7E. 修理後 TONE−VR基板
C7F. 修理前 TONE−VR基板裏
C7G. 修理(半田補正) TONE−VR基板裏 全ての半田をやり直す 
C7H. 完成TONE−VR基板裏 洗浄後
C8A. 修理前 SW基板
C8B. 修理前  SW基板裏、手付けなので劣化は非常に少ない
C8C. 修理(半田補正)後 SW基板裏 全ての半田をやり直す
C8D. 完成SW基板裏 洗浄後
C9A. 修理前 FILTERS−SW基板
C9B. 修理前 FILTERS−SW基板裏
C9C. 修理(半田補正) FILTERS−SW基板裏 全ての半田をやり直す
C9D. 完成FILTERS−SW基板裏 洗浄後
CAA. 修理前 Mode−SWの接点
CAB. 修理後 Mode−SWの接点、一般的な接点復活材ではこの程度です
CBA. 修理前 SELECTOR−SWの接点
CBB. 修理後 SELECTOR−SWの接点
CCA. 修理前 BASS−SWの接点
CCB. 修理後 BASS−SWの接点
CCC. 修理前 MIDRANGE−SWの接点
CCD. 修理後 MIDRANGE−SWの接点
CCE. 修理後 MIDRANGE−SWの接点2
CDA. 修理前 電解コンデンサー周り
CDB. 修理後 電解コンデンサー周り 電解コンデンサー5個、経年変化を考慮して増強する
CDC. 修理前 右メイン基板コネクター周り
CDD. 修理後 右メイン基板コネクター周り
CDE. 修理前 左メイン基板コネクター周り
CDF. 修理後 左メイン基板コネクター周り 電解コンデンサー2個交換
CEA. パネル清掃
CEB. パネル裏 接着材を流し込んで置く
CEC. パネル裏 接着材を流し込んで置く
CF. 後パネルを外し、ハンダ補正中
CGA. 修理前 上から見る
CGB. 修理後 上から見る
CGC. 修理前 下から見る
CGD. 修理後 下から見る
CH. 交換部品
E. 測定・調整
E1. 出力・歪み率測定・調整
    <見方>
   下左オーディオ発振器より400HZ・1KHZの信号を出し(歪み率=約0.003%)これをAMPに入力し、SPからの出力を測定
   下中オシロ=入力波形(オーディオ発振器のTTLレベル)   下右上=周波数計
   上左端電圧計=L側SP出力電圧測定、黒針のみ使用
   上中左歪み率計=SP出力の歪み率測定 左メータ=L出力、右メータ=R出力
   上中右=R側SP出力電圧測定、赤針のみ使用
   上右端オシロ=SP出力波形 上=R出力、下=L出力
   下中右上デジタル電圧計=SP出力電圧測定RLは切り替えて測定
E2A. 出力=25V=78W 歪み率0.04% at=1000HZ AUX端子入力
                   測定器の構成が変わり、歪み計のアース共通が原因で悪影響、単独測定に変更する
E2B. 出力=25V=78W 歪み率0.03% at=400HZ AUX端子入力
                   測定器の構成が変わり、歪み計のアース共通が原因で悪影響、単独測定に変更する
E3A. R出力=26V=84.5W 歪み率0.02% at=1000HZ AUX端子入力
E3B. L出力=26V=84.5W 歪み率0.03% at=1000HZ AUX端子入力
E3C. R出力=26V=84.5W 歪み率0.02% at=400HZ AUX端子入力
E3D. L出力=26V=84.5W 歪み率0.03% at=400HZ AUX端子入力
E4A. R出力=26V=84.5W 歪み率0.03% at=1000HZ PHONO−1端子入力
E4B. L出力=26V=84.5W 歪み率0.03% at=1000HZ PHONO−1端子入力
E4C. R出力=26V=84.5W 歪み率0.03% at=400HZ PHONO−1端子入力
E4D. L出力=26V=84.5W 歪み率0.03% at=400HZ PHONO−1端子入力
E5A. R出力=26V=84.5W 歪み率0.03% at=1000HZ Mic端子入力
E5B. L出力=26V=84.5W 歪み率0.03% at=1000HZ Mic端子入力
E5C. R出力=26V=84.5W 歪み率0.03% at=400HZ Mic端子入力
E5D. R出力=26V=84.5W 歪み率0.03% at=400HZ Mic端子入力
E6. 24時間エージング
S. SANSUI AU−9500 の仕様(マニアル・カタログより)
型式 プリメインアンプ AU-9500 
定格出力 ミュージックパワー(IHF)=260W(4Ω、1kHz).
実効出力(片ch動作)=85W/85W(8Ω、1kHz).
実効出力(両ch動作)=80W+80W(8Ω、1kHz).
連続実効出力(両ch動作、定格歪率8Ω、20Hz〜20kHz)=75W+75W
全高調波歪率(定格出力) 0.1%以下
混変調歪率 0.1%以下(定格出力、70Hz=7kHz=4:1、SMPTE)
パワーバンドウィズ(IHF) 5Hz〜40kHz
周波数特性 3Hz〜80kHz、+0 -1dB(メインアンプ、1W出力時)
ダンピングファクター 50(8Ω)
入力感度/入力インピーダンス(1kHz) Phono1=2.5mV/50kΩ.
Phono2=2.5mV/30kΩ、50kΩ、100kΩ.
(最大許容入力 300mV、全高調波歪率 0.5%以下).
MIC=2.5mV/50kΩ.
Tuner、AUX(レベル調整可能)=100mV/50kΩ.
Tape Monitor1、2(PIN)(レベル調整可能)=100mV/50kΩ.
Tape Monitor2(DIN)=100mV/50kΩ.
4ch、N.R.Adaptor=100mV/50kΩ.
出力電圧/出力インピーダンス Tape Rec1、2(PIN)=100mV/1.5kΩ.
Tape Rec2(DIN)=30mV/70kΩ.
4ch、N.R.Adaptor=100mV/1.5kΩ.
プリアンプ(定格出力)=0.8V/1.5kΩ.
[最大出力、全高調波歪率 0.5%以下]:4.5V.
クロストーク(定格出力 1kHz) Phono1、2=50dB以上
ハム及びノイズ(IHF) Phono1、2=75dB以上.
Tuner、AUX=85dB以上.
メインアンプ=100dB以上.
トーンコントロール Bass(Defeat、150Hz、300Hz、600Hz)=±15dB(20Hz)、3dBステップ.
Midrange(Defeat、750Hz、1.5kHz、3kHz)=±5dB(1.5kHz)、1dBステップ.
Treble(Defeat、6kHz、3.5kHz、2kHz)=±15dB(20kHz)、3dBステップ.
ラウドネス(ボリューム -30dB) 50Hz:+10dB.
10kHz:+8dB.
ロー・フィルター 25Hz、50Hz:-3dB(12dB/oct).
ハイ・フィルター 12kHz、6kHz:-3dB(12dB/oct).
使用半導体 トランジスタ:58
FET:2
ダイオード:37
定格消費電力 205W(最大550VA)
外形寸法 幅500×高さ140×奥行347mm
重量 23.3kg
価格 123,000円(1972年10月発売当時).
135,000円(1975年頃). 
特色。
  • チャンネル独立電源供給方式を採用 小出力から75W+75Wまで,20Hzから20kHzにわたって 0.1%以下の低歪率を実現
  • 全帯域にわたって低歪率(0.1%以下)を保証
  • 高安定度を可能にした左右チャンネル独立電源供給方式
  • パラレル・プッシュプル回路による低歪率,大出力のパワー段
  • 正確な過渡応答。
  • 透明で高品位な音質。
  • 許容入力300mV(1kHz,THD0.5%以下)の広ダイナミックレンジ
  • カレントリミッター,リレー,ヒューズによる大出力アンプにふさわしい完ぺきな保護回路
  • ロータリー・スイッチ式の本格的トリプル・トーン・コントロール(T.T.C.)
  • 上昇,下降点の変えられるトーン・セレクター
  • 2段切換のハイ・フィルター,ロー・フィルター
  • テープリプリントも自由自在
  • 4チャンネル時代に対処した4CHアダプター回路
  • ノイズ・リダクション(N.R.)アダプター  接続回路
  • スピーカーシステムは3系統接続可能
  • 3段にインピーダンスの切替え可能のPHONO-2端子
  • プリ,メインアンプ部は,単独使用可能
  • ミューティングスイッチ
                   9500-d-2m
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