DENON POA−1000B. 3台目修理記録
平成20年1月16日到着   6月23日完成
寸評
このAMPに使用している、6GB8は、6CA7をベ−スに東芝が開発した、世界に誇る球でした。
その昔、メ−カ−発表より遥かなスペックを、奥に秘めた、この玉に、若き夢が騒いだのを、懐かしく思い出す。
今は、この様な、人・物・製品が無いですね、皆カタログ以下!
但し、製造中止の品、現存する良品は、数少ない事に十分注意!TV−2C/U で 「Toshiba 6GB8」測定
入手できないときは「KT−88や+6L6GC」に交換する(回路変更必要)。 そのままで差し替えると、バイアスが異なる為、真空管・出力トランスを焼損します。
このAMPもSPラインを共通に、又、ア−スしてはいけない。 前段12BH7と直結なので、良質な物が必要。
M. 到着時の梱包状況

A. 修理前の状況
  • 定年後に老後の楽しみとして、やっと手に入れた1975年12月に発表したアンプです。
    当時は大卒の初任給で4.5ヶ月分に相当する価格であったと思います。
    このアンプは20年ぐらい、使用していないものをオークションを通じて、譲っていただいたもので、大切に使用しておりましたが、音楽を聴きながら、酔っ払って眠ってしまい、足で蹴飛ばしてしまいました。
    落下の高低差は10cmで床は厚地のじゅうたんでしたが、音楽は異変もなく、きちんと正常に音を出しておりました。
    その後、1日おいて、スイッチを入れた際に3分間ぐらいの間、ショート音が数回し、その間、レベルも安定しなくなりました。
    3分後は平常どおり、何もなかったように10時間連続で使用しても、問題はありませんでした。
    この状態で数回視聴しましたが、電源をいれれば、同じ症状がでました。
    アンプのピンジャックが少しぐらついていたので、これぐらいなら自分で修理できるだろうと作業を始めましたが、左側の配線とその周囲の配線も半田付けが2箇所外れました。
    これ以上作業すれば、バラバラになりそうなので作業を中止したところです。(配線自体も劣化現象か、もろく粘りがなくもろくなっているよう感じます=シロート判断)

T. バラック修理後の測定

B. 原因
  • 経年の熱による基板破壊、半田不良多数。 前の修理者の技量が無い!

C. 修理状況
  • 基板修理。
    全真空管ソケット交換。
    電解コンデンサー増量交換。
    フイルムコンデンサー交換。
    入力RCA端子交換 。
    基板・配線手直し、補強。
    半固定VR交換。
    電源電解コンデンサー交換。
    電源コード交換。

D. 使用部品
  • 整流ダイオード           5個 。
    フイルムコンデンサー       10個 。
    タイト製USソケット         4個。
    タイト製MTソケット         8個。
    RCA入力端子           2個 (支給品)。
    電解コンデンサー          18個。
    抵抗                  5個 。
    半固定VR              5個。
    電源電解コンデンサー       3本、「ElNA Cerafine」 1本。
    電源コード               1本。

E. 調整・測定

F. 修理費  150,000円   オーバーホール修理。
                       但し、真空管は別途支給です。


S. DENON POA1000B の仕様(マニアルより)

M. 到着時の梱包状態
M1. DENON POA1000B。 弘法大師の誕生地 香川県善通寺 からきました
M2. DENON POA1000B。 詰め物が良く移動は有りません。
T. バラック修理後の測定
T1. 出力・歪み率測定、但し6GB8は1本共用する。
    <見方>
   下段左端 オーディオ発振器より400HZ・1KHZの信号を出し(歪み率=約0.003%)これをAMPに入力し、出力を測定
   下段中左 オシロ=入力波形(オーディオ発振器のTTLレベル)   下段中右上=周波数計
   上段左端 電圧計=L側出力電圧測定、黒針のみ使用
   上段中左 歪み率計=出力の歪み率測定 左メータ=L出力、右メータ=R出力
   上段中右 電圧計=R側出力電圧測定、赤針のみ使用
   上段右端 オシロ=出力波形 上=R出力、下=L出力(実際にはRL電圧計の出力「Max=1V」を観測)
   下段中右上 デジタル電圧計=出力電圧測定RLは切り替えて測定
   下段左端 電圧計=入力電圧測定
T2. 修理前歪み率測定。 R側SP出力電圧27V=91W 歪み率=3% 測定レンジ=10% 400HZ入力
T3. 修理前歪み率測定。 L側SP出力電圧27V=91W 歪み率=3% 測定レンジ=10% 400HZ入力
A. 修理前の状況
A11. 点検中 上から見る。
A12. 点検中 真空管ソケット。
A21. 点検中 頭の膨らんだ、電源電解コンデンサー。
A22. 点検中 頭の膨らんだ電源電解コンデンサーの端子側は液漏れしている。
A23. 点検中 交換する電源電解コンデンサー比較。
           倍電圧用:上=交換する1300μ/400WV、下=付いている680μ/350WV。
           整流出口:上=交換する100+100μ/500WV、下=付いている100μ/500WV。
A31. 点検中 ダメな6GB8、プレートに焼けが見える。
A32. 点検中 ダメな6GB8、プレートに焼けが見える、反対側。
A33. 点検中 左=後期の黒プレート(手持ち)、右=付いている物、少しゲッターが薄い。
A34. 点検中 カソードが落ちた12AX7、寿命です。
A41. 点検中 シャーシ下から見る。6GB8のソケットもプリント基板使用、お陰で熱の為ハンダ不良続出
           この基板を取り出し、配線補強する
A51. 点検中 R側基板。 熱の為、基板の半田のひび割れが続出。
           この基板はスルホール基板です、高熱になる為、銅、エポキシ基板の熱膨張が異なるので、銅箔が切れる。
A52. 点検中 R側基板。 交換された電解コンデンサー、基板を外すのが大変なのでリード線を継ぎ足し!
A53. 点検中 R側基板。 交換された電解コンデンサー2、基板を外すのが大変なのでリード線を継ぎ足し!
A54. 点検中 R側基板。 交換された電解コンデンサー3、基板を外すのが大変なのでリード線を継ぎ足し!
A55. 点検中 R側基板。 基板からの引き出し線の半田、もう少し丁寧に!
A61. 点検中 L側基板。 熱の為、基板の半田のひび割れが続出。
          この基板はスルホール基板です、高熱になる為、銅、ガラスエポキシ基板の熱膨張が異なるので、銅箔が切れる。
A62. 点検中 L側基板。 交換された電解コンデンサー、基板を外すのが大変なのでリード線を継ぎ足し!
A71. 点検中 金足の12AX7、左の金足は腐食している。
A72. 点検中 金足の12AX7、左の金足は腐食している、多分接点復活材を使用した為だと思われる。
C. 修理状況
C11. 修理中。 逆さにするので、トランスを「プチプチ」で保護する。
C12. 修理中。 基板を取り外す。
C21. 修理前 R基板。 半田があちこちで危険状態
C22. 修理中 R基板。 ソケットや部品を取る。
C23. 修理中 R基板。 銅箔の補修(半田面積を広げる)
C24. 修理後 R基板。 ソケット・部品を取付け、渡り錫メッキ線を通して補強する。
            写真紛失
C25. 完成R基板。 洗浄後
C26. VRを取り付け完成R基板。
C31. 修理前 R基板裏。 半田があちこちで危険状態
C32. 修理中 R基板裏。 ソケットや部品を取る。
C33. 修理中 R基板裏。 銅箔の補修(半田面積を広げる)
C34. 修理中 R基板裏。 端子が抜けないよう錫メッキ線で止める
C35. 修理中 R基板裏。 端子が抜けないよう錫メッキ線で止める
C36. 修理後 R基板裏。  ソケット・部品を取付け、渡り錫メッキ線を通して補強する。
            写真紛失
C37. 完成R基板裏。 洗浄後
C41. R側VRの解体修理中
C42. 修理(清掃)前 R側VRの抵抗体・摺動部 
C43. 修理(清掃)後 R側VRの抵抗体・摺動部
C44. 修理前 R側基板への配線半田付
C45. 修理後 R側基板への配線半田付
C46. 修理前 R側シールド線
C47. 修理後 R側シールド線
C48. 修理後 R側シールドケーブルの半田付
C51. 修理前 L基板。 スルホールや半田があちこちで危険状態
C52. 修理中 L基板。 ソケットや部品を取る。
C53. 修理中 L基板。 銅箔の補修(半田面積を広げる)
C54. 修理後 L基板。 ソケット・部品を取付け、錫メッキ線を通して補強する。
C55. 完成L基板 洗浄後
C56. VRを取り付け完成L基板。
C61. 修理前 L基板裏。 半田があちこちで危険状態
C62. 修理中 L基板裏。 ソケットや部品を取る。
C63. 修理中 L基板裏。 スルフォールや銅箔の補修(半田面積を広げる)
C64. 修理中 L基板裏。 端子が抜けないよう錫メッキ線で止める
C65. 修理後 L基板裏。 ソケット・部品を取付け、スルフォールを錫メッキ線を通して補強する。
C66. 完成L基板裏 洗浄後
C71. L側VRの解体修理中
C72. 修理(清掃)前 L側VRの抵抗体・摺動部。 接点復活材の大量使用で、グリスが溶け出し、接点に付着している。 
C73. 修理(清掃)後 L側VRの抵抗体・摺動部
C74. 修理前 L側基板への配線半田付
C75. 修理後 L側基板への配線半田付
C76. 修理前 L側シールド線
            写真紛失
C77. 修理前 L側シールド線
C78. 修理後 R側シールドケーブルの半田付
C81. 修理前 R・L基板引出線
C82. 修理後 R・L基板引出線
C83. 修理後 R・L基板引出線2、電源ケーブルも交換。
C91. 修理前 電源ブロック電解コンデンサー
C92. 修理後 電源ブロック電解コンデンサー
CA1. 修理中 前パネルを取り外す。
CA2. 修理中 R側出力トランスから詰め物のピッチがにじみ出している。
CA3. 修理中 電源トランスから詰め物のピッチがにじみ出している。
CB1. 修理前 メーターAMP部。 シルードがあり、引き出し線は移動不可
CB2. 修理前 メーターAMP基板
CB3. 修理後 メーターAMP基板 電解コンデンサー増量・交換
CB4. 完成メーターAMP基板 洗浄後
CB5. 修理前 メーターAMP基板裏
CB52. 修理中 メーターAMP基板裏。 半田不良ケ所
CB6. 修理(半田補正)後 メーターAMP基板裏
CB7. 完成メーターAMP基板裏 洗浄後
CC1. 修理前 パネル照明ランプ基板
CC2. 修理後 パネル照明ランプ基板。 消耗しているので全交換する。
CC3. 修理前 パネル照明ランプ基板裏
CC4. 修理(半田補正)後 パネル照明ランプ基板裏
CC5. 完成パネル照明ランプ基板裏 洗浄後
CD1. 完成パネル裏
CD2. 完成パネル裏2
CE1. 前面パネル洗浄、会わせ構造なので、ウエスに洗浄剤を付けて吹く。
CE2. パネル裏側。 止めネジが錆び付いているので分解出来ない。
CE3. 右側パネル裏側。
CE4. 左側パネル裏側。
CF1. 内パネル・蓋洗浄
CF2. 開閉パネル洗浄
CF3. 修理中 開閉パネルのヒンジのピン。 抜け落ちている、これでは扉が自重で落ちて(開いて)しまう。
CG1. 修理前 電源SW。 ヒビが入っている。
CG2. 修理中 電源SW分解。 焼けているので、反対側を使用する。
CG3. 修理中 電源SWの接点拡大。
CH. 交換部品
CI1. 修理前 上から見る
CI2. 修理後 上から見る
CI3. 修理前 下から見る
CI4. 修理後 下から見る
CJ1. 修理後 R側RCA端子交換、上下のビスは飾り(穴埋め)。SP端子のネジは「−」と「8オーム」に綺麗なのを移動。
CJ2. 修理前 L側RCA端子交換、上下のビスは飾り(穴埋め)。SP端子のネジは「−」と「8オーム」に綺麗なのを移動。
CJ3. 修理後 電源ケーブル交換。
E. 調整・測定
E1. 出力・歪み率測定
    <見方>
   下段左端 オーディオ発振器より400HZ・1KHZの信号を出し(歪み率=約0.003%)これをAMPに入力し、出力を測定
   下段中左 オシロ=入力波形(オーディオ発振器のTTLレベル)   下段中右上=周波数計
   上段左端 電圧計=L側出力電圧測定、黒針のみ使用
   上段中左 歪み率計=出力の歪み率測定 左メータ=L出力、右メータ=R出力
   上段中右 電圧計=R側出力電圧測定、赤針のみ使用
   上段右端 オシロ=出力波形 上=R出力、下=L出力(実際にはRL電圧計の出力「Max=1V」を観測)
   下段中右上 デジタル電圧計=出力電圧測定RLは切り替えて測定
以下12AX7+6GB8は手持ちで測定
E21. R側SP出力30V=112W 歪み率=0.27%(0.3%Maxレンジ) 1000HZ
E22. R側SP出力30V=112W 歪み率=0.27%(0.3%Maxレンジ) 400HZ
E31. L側SP出力30V=112W 歪み率=0.23%(0.3%Maxレンジ)  1000HZ
E32. L側SP出力30V=112W 歪み率=0.2%(0.3%レンジ) 400HZ
E4. その時のVUメーター
E51. 付属の6GB8で測定 L側SP出力29V=105W 歪み率=0.5%(1%Maxレンジ)  1000HZ
E52. 付属の6GB8で測定 L側SP出力29V=105W 歪み率=0.8%(1%Maxレンジ)  400HZ
E6.  24時間エージング中。
S. DENON POA−1000Bの仕様(マニアルより)
型式 管球式ステレオパワーアンプ POA−1000B
定格出力(両ch駆動、正弦波連続出力) 110W+110W(1kHz)、 100W+100W(20Hz〜20kHz)
全高調波歪率(定格出力時) 0.2%以下(1kHz)、 0.5%以下(20Hz〜20kHz)
混変調歪率 0.8%以下
出力帯域幅(両ch駆動) 8Hz〜40kHz
伝達周波数特性 5Hz〜150kHz +0 -3dB
出力インピーダンス 0.5Ω以下(8Ω)
残留雑音 0.5mV以下(8Ω)
クロストーク(Line in〜Speaker out) -95dB以下(1kHz)
入力感度/インピーダンス 1Vrms/250kΩ
フィルター(ローカットフィルター) 18Hz、(-18dB/oct)
レベルメーター指示範囲 -55dB〜+5dB(最大出力から1mWまで等間隔目盛)
電源電圧 AC100V、50Hz/60Hz
消費電力 320W
外形寸法 幅410×高さ117×奥行386mm
重量 34kg
価格 \350,000(1976年頃)受注生産品
                      1000b337
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