LUX SQ-38FD. 5台目修理
平成24年3月5日到着  8月9日完成
A. 修理前の状況
  • 大変思い入れ深いSQ38FDの修理をいたしたくご相談させていただきます。
    購入は昭和47年。その1年前くらいにこのアンプにてタンノイのスピーカーが とても美しく鳴るのを聴いて、すっかり惚れ込み、かなり無理をして購入しました。
     その後若い身の上ゆえタンノイのスピーカーを購入することはできませんでしたが、 自作の大型スピーカーで本当に長く心ゆくまで楽しんできました。
     しかし、平成13年より7年ほど海外赴任となり、その間物置に放置していたところ、 帰国後、通電はするものの、片方のチャンネルからしか音が出なくなりました。 やっと年も重ね、タンノイのスピーカーを購入することもできるようになりましたところ、 今一度この思い入れのあるアンプで大好きなクラシックを楽しみたいと思っております。
     なお、メーカー修理はつまみの不良と小さい真空管(出力管ではないということ)の 交換の修理はした記憶がおぼろげながらありますが、本格的な修理に出した記憶はありません。


B. 原因
  • 経年変化による劣化。

L. LUX OY15−5 出力トランス点検
  • 現在オークションでは直流抵抗を測定して、良否を表示しているが、完璧ではありません。
    正確には、交流電圧を入力し、各巻き線の出力電圧を点検する。

C. 修理状況
  • 出力真空管 50CA10 ソケット交換。
    Miniature Tubes管ソケット交換。
    電解コンデンサ交換。
    ブロック電解コンデンサー交換。
    整流ダイオード交換。
    半固定VR交換。
    配線手直し、補強。
    各部ハンダ補正。

U. TubeTester HickokTV−2B/Uによる付属真空管測定 別ファイルが開きます。
V. TubeTester HickokTV−2B/Uによる購入真空管測定 別ファイルが開きます。

D. 使用部品
  • 出力真空管 50CA10 ソケット           4個。
    Miniature Tubes管ソケット交換            8個。
    電解コンデンサ                      個。
    ブロック電解コンデンサ                 4個。
    フイルムコンデンサ−                  個。
    半固定VR                        6個。
    整流ダイオード                     8個。

E. 調整・測定

F. 上位測定器によるプリAMP調整・測定

G. 修理費          120,000円    オーバーホール修理。
                               但し、真空管は別途です。

S. LUX SQ-38FD の仕様(マニアル・カタログより)

A. 修理前の状況
A11. 外観 前から見る
A12. 外観 前右から見る
A13. 外観 後から見る
A14. 外観 後左から見る
A15. 外観 上から見る
A21. 外観 下前から見る
A22. 外観 下前左から見る
A23. 外観 下後から見る
A24. 外観 下後右から見る
A25. 外観 下から見る
A31. 木箱から取出 上から見る
A32. 木箱から取出、真空管を取り、清掃後、上から見る
A33. 木箱から取出、真空管を取り、シールドを外し 上から見る
A34. 交換する真空管ソケットとの比較
A35. 木箱から取出、真空管を取り、シールドを外し 上から見る。 頭の膨らんだ電解コンデンサー。
A41. 木箱から取出 下から見る
A42. 下蓋裏の埃、 右半分は清掃済み
A43. 木箱から取出、下蓋をとり、 下から見る
A51. 点検中 NEC製50CA10−4本。
A61. 点検中 6AQ8、6267。
A71. 点検中 12AX7
A81. 長期休眠の機器は通電前に、トランスの水分抜き処理。
      左側=出力トランス2個へ、 右側=電源トランスへ。
  • 長い間通電していない「トランスの高圧巻き線」は湿気を含み、絶縁力が落ちているので、
    巻き線に直流を流し、銅損の熱で乾燥させる。巻き線の電流を考慮し、長時間通電する(10〜20時間連続)
L. LUX OY15−5 出力トランス点検
    LUX OY15−5 の仕様。
       1次インピーダンス=5kΩ(P1−B1間+B2−P2間)。
       2次インピーダンス=16Ω(最大)。
       インピーダンス比=5kΩ/16Ω=312.5、 巻き線比=17.68。
       2次16Ω端子にAC10Vを入力すると、
       1次巻線P1−B1間電圧=P2−B2間電圧=176.8V/2=88.4V。
L11. 点検中 右側出力トランス電圧測定。
     16Ω端子にAC10Vを入力し、1次巻き線P1−B1間電圧=85.2V、P2−B2間電圧=85.1V。
L12. 点検中 左側出力トランス電圧測定。
     16Ω端子にAC10Vを入力し、1次巻き線P1−B1間電圧=85.2V、P2−B2間電圧=85.1V。
C. 修理状況
C11. 修理前 下から見る。
C12. 修理後 下から見る。
C21. 修理前 上から見る。
C22. 修理後 上から見る。
C23. 修理後 真空管を挿し、上から見る。
C31. 修理前、メインAMP部。
C32. 修理後、メインAMP部。
C33. 修理前、電源トランス付近。
C34. 修理後、電源トランス付近。
C35. 修理前、出力トランス付近。
C36. 修理後、出力トランス付近。
C41. 修理前、プリAMP部。
C42. 修理後、プリAMP部。
C51. 修理前、出力真空管50CA10、前段真空管6DT8・6267のソケット。
C52. 修理中、メインAMP部。 ソケットのピン固定のため、「ジャンク真空管」を挿入して配線を行う。
           使用する「ジャンク真空管」は、本来の出番は決して無い、TV球のダンパー管や高圧整流管です。
C53. 修理後、出力真空管50CA10、前段真空管6DT8(6AQ8)、 6267のソケット。
C61. 修理前、12AX7のソケット。
C62. 修理中、プリAMP部。 ソケットのピン固定のため、「ジャンク真空管」を挿入して配線を行う。
           使用する「ジャンク真空管」は、本来の出番は決して無い、TV球の高圧整流管です。
C63. 修理後、12AX7のソケット。
C71. 前パネル清掃中。
C72. 前パネル清掃後。
C81. 交換部品。
C82. 交換部品、 電源高圧ブロック電解コンデンサー。
             右=新しい電解コンデンサー(100/100μ/500WV)、左=交換した物(47/47μ/450WV)。
E. 測定・調整
E1. 出力・歪み率測定・調整
    「見方」。
   上段中 右側SP出力を「Audio Analyzer Panasonic VP−7723B」により測定。
         表示LED、 左端=メモリーNo、 中左=周波数測定、 中右=出力電圧測定、 右端=歪み率測定。
   上段右端 VP−7723Bの基本波除去出力を「owon SDS8202(200MHZ)」で「FFT分析」表示。
   下段中 左側SP出力を「Audio Analyzer Panasonic VP−7723B」により測定。
         表示LED、 左端=メモリーNo、 中左=周波数測定、 中右=出力電圧測定、 右端=歪み率測定。
   下段右端 VP−7723Bの基本波除去出力を「owon SDS6062(200MHZ)」で「FFT分析」表示。
   下段左端 オーディオ発振器 VP−7201A より50Hz〜100kHzの信号を出し(歪み率=約0.003%)、ATT+分配器を通し、AMPに入力。
          よって、ダイアル設定出力レベルより低くなります。測定機器の仕様や整備の様子はこちら、「VP−7723B」「VP−7201A」。 FFT画面の見方はこちら。
E21. AUX_50Hz入力、R側SP出力電圧16V=32W出力、 0.73%歪み。
                 L側SP出力電圧17V=36W出力、 1.25%歪み。
                 「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=250Hz、右=1kHz。
E22. AUX_100Hz入力、R側SP出力電圧16V=32W出力、 0.59%歪み。
                    L側SP出力電圧17V=36W出力、 0.67%歪み。
                  「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=250Hz、右=1kHz。
E23. AUX_500Hz入力、R側SP出力電圧17V=36W出力、 0.50%歪み。
                    L側SP出力電圧17V=36W出力、 0.50%歪み。
                  「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=2.5kHz、右=10kHz。
E24. AUX_1kHz入力、R側SP出力電圧17V=36W出力、 0.43%歪み。
                  L側SP出力電圧17V=36W出力、 0.43%歪み。
                 「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=2.5kHz、右=10kHz。
E25. AUX_5kHz入力、R側SP出力電圧17V=36W出力、 0.46%歪み。
                 L側SP出力電圧17V=36W出力、 0.46%歪み。
                 「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=25kHz、右=100kHz。
E26. AUX_10kHz入力、R側SP出力電圧16V=32W出力、 0.87%歪み。
                   L側SP出力電圧16V=32W出力、 0.88%歪み。
                  「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=25kHz、右=100kHz。
E27. AUX_50kHz入力、R側SP出力電圧10V=12.5W出力、 9.34%歪み。
                   L側SP出力電圧10V=12.5W出力、 9.21%歪み。
                  「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=100kHz、右=500kHz。
E32. MM_100Hz入力、R側SP出力電圧5V=3W出力、 0.078%歪み。
                  L側SP出力電圧5V=3W出力、 0.066%歪み。
                 「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=250Hz、右=1kHz。
E34. MM_1kHz入力、R側SP出力電圧5V=3W出力、 0.074%歪み。
                 L側SP出力電圧5V=3W出力、 0.085%歪み。
                「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=2.5kHz、右=10kHz。
E36. MM_10kHz入力、R側SP出力電圧5V=3W出力、 0.090%歪み。
                  L側SP出力電圧5V=3W出力、 0.095%歪み。
                 「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=25kHz、右=100kHz。
E37. MM_20kHz入力、R側SP出力電圧5V=3W出力、 0.115%歪み。
                  L側SP出力電圧5V=3W出力、 0.105%歪み。
                 「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=100kHz、右=500kHz。
F. 上位測定器による 調整・測定
F0. 下のオーディオアナライザーVP−7732Aで自動測定。
F21. 入出力特性測定(AUX入力)
        AUX入力端子へ100mV一定入力、VRはmax、左出力=薄(細い)色 右出力=濃い(太い)色
F22. 歪み率特性測定(AUX入力)
        AUX入力端子へ100mV一定入力、VRはmax、左出力=薄(細い)色 右出力=濃い(太い)色
F31. 入出力特性測定(AUX入力) BASS(300HZ) & TREBLE(3KHZ) 最大
        AUX入力端子へ100mV一定入力、VRはmax、左出力=薄(細い)色 右出力=濃い(太い)色
F32. 入出力特性測定(AUX入力) BASS(300HZ) & TREBLE(3KHZ) 最小
        AUX入力端子へ100mV一定入力、VRはmin、左出力=薄(細い)色 右出力=濃い(太い)色
F33. 入出力特性測定(AUX入力) BASS(150HZ) & TREBLE(6KHZ) 最大
        AUX入力端子へ100mV一定入力、VRはmax、左出力=薄(細い)色 右出力=濃い(太い)色
F34. 入出力特性測定(AUX入力) BASS(150HZ) & TREBLE(6KHZ) 最小
        AUX入力端子へ100mV一定入力、VRはmin、左出力=薄(細い)色 右出力=濃い(太い)色
F51. 入出力特性測定(AUX入力) LowFilter(100HZ) & HighFilter(5KHZ) ON
        AUX入力端子へ100mV一定入力、VRはmax、左出力=薄(細い)色 右出力=濃い(太い)色
F52. 入出力特性測定(AUX入力) LowFilter(50HZ) & HighFilter(9KHZ) ON
        AUX入力端子へ100mV一定入力、VRはmax、左出力=薄(細い)色 右出力=濃い(太い)色
F6. 入出力特性測定(MM入力)=PHONO−1
      MM入力、入力電圧=1mV一定入力、VRはmax、左出力=薄(細い)色 右出力=濃い(太い)色
E4. 完成、 24時間エージング中。 右は「YAMAHA B−1(UC-1付). 7台目
S. LUX SQ-38FD の仕様(マニアル・カタログより) 
型式 管球式プリメインアンプ
連続実効出力 30W+30W(4Ω、8Ω、16Ω)
全高調波歪率 0.7%以下(最大出力時)
周波数特性 20Hz〜20kHz /-1dB
入力感度 Phono1、2= 2.2mV
Aux1、2、3= 200mV
入力インピーダンス Phono1、2= 50kΩ
Aux1、2、3= 200kΩ
SN比 Phono= 60dB以上、 Aux= 70dB以上
トーンコントロール LUX方式、 NF型湾曲点周波数切換付
残留雑音 1mV以下
付属装置 ハイフィルター、 ローフィルター、 メイン部入力レベルセット
テープモニタースイッチ及び端子、 DIN規格テープコネクター
使用真空管 12AX7×4、 6267×2、 6AQ8×2、50CA10×4、
外形寸法 幅476×高さ190×奥行335mm
重量 18kg
価格 98,000円
販売年月 1970年7月
                   sq38d5-2n
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